No.251 腕が麻痺して動かない(椎間板ヘルニアと腋窩神経麻痺)

症状

 以前より寝違えて首を痛めることが多く、1年前には、痛みがでどの方向にも首が向けなくなる。その後徐々に右腕に違和感やしびれ感が出現する。3ヶ月前より今度は右腕が挙上できなくなる。徐々に右腕は筋力の低下と同時に萎縮が進み、痩せてきていた。日常の動作ができなくなることが多くなり、整形外科を受診しMRI検査の結果、椎間板ヘルニアにより神経圧迫と診断される。手術の他には手立てがなく、痛み止めを処方されるが、改善せず当院に来院する。

分析

 頚部を痛めた後の神経麻痺症ということから、椎間板ヘルニアの可能性とその他、腱板損傷や腋窩神経麻痺、肩甲下神経絞扼症候を頭に入れて、検査を行う。頚椎の可動による痛みがあるものの、可動性やその放散痛などからは、現時点での頚椎神経孔付近による神経圧迫はなく、腋窩神経や肩甲下神経絞扼の可能性も否定できないと判断して施術進める。

施術

 整形外科MRIでの診断である椎間板ヘルニアの可能性を第一優先的に考え施術を進める。椎間内圧の減圧を行うが大きな変化はなく、一度、聖路加国際病院に紹介して精査お願いすることにする。整形外科の医師も腋窩神経麻痺を疑い検査してくださったが、診断結果はその可能性もないとの診断となり、やはり頚椎の椎間板ヘルニアとの診断で手術適応となる。ただ、早急性はないということから、患者さんと話し合い3ヶ月間だけ施術してみて、変化ない場合は聖路加国際病院での手術を考えることとなった。
その後は、頚椎の捻りにより筋肉組織の拘縮の施術にあたると、患者から徐々に力が入ってきたとの報告をもらい、その方向性で施術続ける。3ヶ月後には、今までできなかった洗髪やはみがきなどの日常習慣での改善が明らかになり、3ヶ月経過し、挙上もできるようになったので、そのまま施術継続する。
半年後には、頚椎の可動制限や肩関節も頭上まで上がるようになり。施術前の動画と半年後の動画など施術経過などを整形外科医師に送り、手術の必要性はないとの回答をもらう。現在2週間に一度メンテナンスとチェックの施術継続するが経過良好で筋力も戻り挙上制限もなくなっている。

 頚椎の捻りが大きく、頚椎に付着する筋肉が拘縮を起こし、徐々に内圧を上げ神経圧迫を起こしたと予想される。ストレートネックも強く、変形性も進んでいたことからも頚椎のアライメントが狂い、頚部の筋肉で頭部を長期間支えたために起こった障害の可能性が高い。頚椎椎間孔からその神経走路にそったダブルクラッシュ障害で腋窩神経麻痺も起こしてしまったのではないか?(ここは推測にすぎない)この方は神経麻痺まで起こしていたので、正直どこまで回復するか見えなかったが、辛抱強く施術に来て頂き、自宅での体操も根気よく継続してくれた結果、神経が回復したと思われる。
寝違えを繰り返している人には特に注意してもらいたいものである。

担当:KIZUカイロプラクティック本院 院長 木津直昭