No.260 ダンサー障害(雑巾絞り症候群)

症状

コンテンポラリーダンスを行なっていて、半年前から腰部に痛みを感じ、ダンス練習を控えているとのこと。以前は週に5日以上は踊っていたとのことである。最近は、練習を行うと腰部に痛みを感じ、踊れない状態である。

分析

関節可動域テスト、腰部左回旋、左側屈で違和感あり、整形外科的テストでは左ケンプテスト陽性。
実際に歩いてもらい、コンテンポラリーダンスの回旋動作を踊ってもらう。
骨盤から腰部の動きに左右差があり、左半身を軸にした回転動作を行う。右足軸の回転動作は、上手くバランスが取れない。
側屈動作もまた、左側屈はしやすいが、右側屈はしにくいとのこと。
ダンス練習をしていくと左腰部に負担をかけ左腰椎4番5番椎間関節の問題による痛みが出現しているようである。

施術

施術:
左足からの力のベクトルと右足からの力のベクトルの崩れからくる身体の軸の問題と判断し、施術行う。主に左軸で行なってきたダンスによってできた関節や筋肉の状態を戻し、右足から脊柱にかけて力を集める施術を行う。結果、左腰部の負担が消え、痛みも和らぎ、ダンスでの回転運動が可能になる。


考察:
一言にダンスと言っても、バレエ、フラメンコ、社交ダンス、ジャズダンス、フラダンス、コンテンポラリー等様々です。これらのダンスで共通しているのは、身体を絞る動作が多いことです。

こららダンサーの障害に多いのが身体の軸の狂いによる腰痛・股関節痛・膝痛などです。

 ダンスは、基本的に同じ方向に回旋することが多く、どなたでもどちらか得意な回旋方向があるはずです?この得意な回旋方向がその人の体に”絞り”を加え雑巾を絞ったような状態にさせてしまいます。身体を絞っても、その絞りが解ける動きができれば、もちろん問題ありません。しかし、ダンス障害を起こす方は、この絞った身体が反対の動きをしても元に戻らないのです。

この状態のことを『雑巾絞り症候群』と名づけました。身体を絞るけど、その絞りが『乾いて固まった雑巾のように解けない状態』になって身体の不調を感じ来院される方が多いのです。