No.262 椎間板ヘルニアにより2ヶ月間『腰が曲がらない』

症状

 2ヶ月前に育児で前屈み姿勢多く、その時に腰を痛めてから、腰が前に曲がらなくなったと来院される。ハリやマッサージをするが効果なかったとのこと。
2年前にもぎっくり腰を起こし整形外科でMRI検査結果で椎間板ヘルニアと診断される。座位姿勢が辛く、最近スタンディングデスクを購入して使っているが症状は変わらない。
現在、2ヶ月前と変わらず腰が固まり、痛みで前屈できない。

分析

検査すると、前屈姿勢を取らせると、腰椎がロックした状態で前に曲げることができない。痛みも伴い、怖い感じがするので、膝に手を当てがいたくなる。
後方には反れるが痛みが少しあり、側屈、回旋は、腰部での動きを胸椎で補っているようであるが、痛みはない。

腰椎のモーションパルペーションでは、腰椎過可動性がある。筋肉の柔軟性もあり、拘縮した状態ではない。左右差で言えば、左骨盤と肋骨の間で筋肉の拘縮が少しある程度であった。
また、下部腰椎(L4、L5)は、右から左の可動性がなく、逆に左から右への可動性は強く動揺性が強く感じられた。

施術

下部腰椎(L4、L5)の動揺性を抑えるアプローチを行う。施術は、この下部腰椎の左から右への動揺性を止めるために右側方から脊柱中心に向けての矯正を行う。また筋肉トレーニングも右腸腰筋も強化する。施術後、2ヶ月ぶりに前屈が可能になる。


考察:
今回の症例でのポイント:筋肉とか筋膜を緩めるのではなく関節の動揺性を抑える施術であること。
慢性的に腰が曲がらないというと、一般的には患部を温めて、筋肉の拘縮を取り除けば、徐々に緩んでくるというイメージが湧いてくるかと思います。ご本人も、鍼やマッサージで緩めようといていたみたいです。

今回は、腰部においての動揺性亢進(右へ動き過ぎ)でしたが、この動揺性の亢進については、慢性的な頚部痛でも起こりうる障害です。一般的には、筋肉や筋膜が固まって起きていると思いがちですが、関節の不整列によって、筋肉に防御的な緊張が起き、ロックして動かなくなる筋骨格系の障害は非常に多いのです。

文責:木津直昭