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背中座りの進化型~首座り~

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もしや自宅でテレビを見るときに上のような格好で見ていないですか?
または、ソファーや床に横向きに寝そべって、肘掛や肘まくらでテレビを見てないですか?
実は、この寝ながらテレビや寝ながらスマホによって慢性的に首を痛めている方が多く来院されています。しかし、本人はその格好が原因とは気がついていないことが多いのです。この座り姿勢(寝姿勢でもある)を「首座り」と名付けました。
赤ちゃんの「首が座る」といいますが、この「首座り」は赤ちゃんの首が座るとは違います。「背中座り」というのがあるのですが、これは男性に多い座り方で、背中を丸める座り方で猫背からさらにお尻が前にすべり、背中で座っているような感じになります。
電車の中で、スマホやゲームをしている悪い姿勢を連想してください。

実は、この「背中座り」の進化型が「首座り」なのです。
車内や会社ではできない座り方ですが、自宅に帰ってリラックスすれば、この特殊な座り方ができるのです。これは一般的には寝ている状態と認識されていますが、僕は、この姿勢を座り方の一種としました。なぜなら、通常の座った状態から「ダラーンと」徐々に背中がすべったのが、「背中座り」。またそこからさらに背中がすべらしたのが「首座り」なのです。
この「首座り」は特に首に負担をかけ、様々な症状を発生させます。首が回りにくい、左右どちらかが向けない、首の慢性的な痛み、頭痛、吐き気、頚椎の不安定症(首でしっかり頭を支えられない感覚)等です。もちろんストレートネックにも。

慢性的な首の痛みの患者さんに時々質問します。「ソファーに横になって、高いクッションか肘掛に頭を載せてテレビを見ていないですか?」と、そうすると帰ってくる答えは、「YES」が多いのです。
この「首座り」をする場合、特に多いのが以下の体勢です。
横向き寝テレビ鑑賞:高枕か肘掛、もしくは自分の肘まくらでテレビを見る。
正面向きテレビ鑑賞:正面にあるテレビを高枕で見る。
もし、仮にこの体勢で寝てしまったら大変です。できるだけ短時間(10分以内)にしましょう。
また、この姿勢でスマホを見ている方も特に注意が必要です!

「座り方」についての書籍発刊について

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一つ質問です。
「座っている」と「立っている」のでは、どちらが楽でしょうか?
ほとんどの方が座った姿勢が楽と答えられたのではないでしょうか?
なぜでしょうか?
 一つ例を上げれば、座ったままなら寝れるし、立ったままでは寝るのは至難の技と自覚しているからだと思います。
 しかし、実は椎間板への負担を考えると、立った状態を100という数値で表すと、パソコンをするような座った前傾姿勢は、175にもなります。座った姿勢の方が、75%も負担が増えるのです。現代の社会環境では、10時間以上もそれらの姿勢でいることが当たり前です。パソコン、スマホ、アイパッド、ゲーム・・・。
 実際の臨床の現場では、これらの座り方が根本原因になっているケースが驚くぐらい多いのです。腰痛、肩こり、首こり、座骨神経痛、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など上げればキリがないのです。それ程、座る姿勢による影響が大きいにも関わらず、座った姿勢は楽であるという固定概念があるので、その姿勢が原因と思わないし軽視されているのです。
 また、本書でも取り上げていますが、昨年、座り姿勢についてのある報告がされていました。一日6時間以上座る人は、一日3時間座る生活の人と比べると15年後の死亡率が40%も増えるというものでした。
それも、この調査は、運動習慣のある人を対象にしたものでした。ということは、運動習慣なしに一日10時間以上座っていたらどうなるのでしょうか?
 パソコン、スマホなどの普及は全世界共通です。座る時間も比例して増加し、この傾向はしばらく続いていくことでしょう。
 そこで、この書はこれからの座り生活をどのように過ごしていけばいいかを、座り姿勢のリスクについての警鐘と同時に「座り方の原則と法則」という定義を用いて、少し大袈裟ではありますが、座り方のマニュアル本として全世界に提案していければと考えています。

*「その痛み・不調は座り方を変えれば消える!」
2013年4月3日にPHP出版より発刊
http://www.kizuchiro.com/media.html
ご興味ある方は是非ご覧ください!

ストレートネックのリセットエクササイズ~ストレートネック研究2

しかし電車内はスマホだらけですね。この前も夜10時過ぎの地下鉄の車内で目の前を見ると初老の方一人だけが何も見ないでうとうとしていたのですが、その他の目に入るすべての方がスマホかアイパッドまたは、携帯ゲームをしていました。その時の皆さんの首の前傾度を観察したのですが、背中から丸まっている人、首だけ前傾している人、様々でしたが、やはり姿勢の悪い人が多かったですね。
この姿勢を毎日していれば、ストレートネック状態になるのではと・・・
そこで今回は「ストレートネックのリセットエクササイズ」をご紹介します。

●ストレートネックリセットエクササイズ

以下の5つのエクササイズをセットで行ってください。

①【胸伸ばし運動】
壁に肘をひっかけて、息を吐きながら、胸の筋肉を伸ばしていきます。反対の手で軽くマッサージしながら行うと効果的です。この時に腰が反らないように下腹部には力を入れて行ってください。左右5回ずつ。

②【胸反らし運動】
肩甲骨の間の筋肉を収縮させるように、胸を反らしていきます。
息を吸いながら胸を反らし、同時に首も後に反らします。首に痛みや違和感がある方は無理をしないでください。息を吐きながら五回を目安に行います。立って行うほうがやりやすく、また効果的です。その時に腰が反らないようにお腹に力を入れるのを忘れずにしてください。

③【猫背リセット運動】
椅子に座った姿勢で、背中を後に反らします。背の部分にタオルなどを入れると効果的です。
息を吸いながら両腕を挙げ、肩甲骨の間を収縮させるように腕も後ろに反らします。肩があげにくかったり、痛みや違和感がある場合は無理をしないように。五回ほど行います。

④【背中反らし運動】
自宅では、就寝前にリセットしましょう!息を吐きながら、お腹を伸ばしていく。初めは肘が軽く曲がる程度で、徐々に肘が伸びるまで行う。腰が反らないように注意し、腰に痛みや重みがある場合は無理しないように加減して行う。5回が目安。


上級者編:
⑤【肩甲骨上下運動】
肩甲骨の可動性を出す為の体操です。丹田に力を入れて、腰が反らないように、左右の腕を上下に勢いよく振り上げます。右手を上に振り上げた時は、左手は振り下げます。片手を振り上げるごとに息を「ふー」と吐きながら左右10ずつ回行います。
*⑤のエクササイズは、①~④が気持ちよく行えて、かつ痛みや違和感がない方が行ってください。

*どこかに痛みや違和感がある場合は無理しないでください。
*エクササイズ中に痛みや違和感をある場合、体操を中止し、専門医かカイロプラクターにみてもらいましょう。

ストレートネックの治し方~ストレートネック研究1(2013年春版)

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 今年に入り、「ストレートネックやスマホ症候群」について多くのメディア(テレビや雑誌など)から取材を受けました。
そこで、一度「ストレートネック」について自分なりに整理したいと思います。

* ストレートネックとは、頸椎の生理的な彎曲が崩れ、ストレート状態になったこと(またはそれに近い状態)を表した言葉であることです。

① なぜストレートネックになってしまうのか?
人間の背骨は、頸椎(首の骨)は7個、胸椎(背中の骨)が12個、腰椎(腰の骨)が5個で構成されています。そのうち、頸椎と腰椎を合わせた12個は前へのカーブ、胸椎12個は後ろへのカーブです。その12対12で拮抗したバランスになります。そのバランスは、筋肉で支えられて成り立っています。例えば、座った時に、猫背姿勢になると、この拮抗バランスが崩れます。なぜなら顔の位置が前にくるからです。そして前傾になればなるほど首のカーブは反対にならなければならなくなるのです。その状態の時は、誰でもストレートネックになっていると言っても過言ではありません。
この状態が「ストレートネック状態」で固定されるのか?筋肉が正しく作用して「正常のカーブ」に戻るのか?その違いは、その人の筋バランスや姿勢、身体の使い方などが影響するのです。

② なぜストレートネックになる人が増えているのか?
第一要因:座る時間が長くなっていること。
第二要因:パソコン・スマホ等の使用による前傾姿勢が多くなっていること。
第三要因:姿勢の悪化や筋バランスの悪化、身体の使い方

③ ストレートネックの影響は?
ストレートネックになってしまったという事は、前述したように、背骨全体のカーブが崩れていると言っても過言ではありませんので、首や肩に限定した症状の他、背中や腰などにも影響しているのです。首や肩への影響としては、首こり、肩こり、頭痛、手や腕のしびれ、首の可動域の低下(首を左右、前後に動かすと痛みや違和感がある)等の症状が発症しやすいと言っていいと思います。

④ どうすればストレートネック状態から脱却できるのか?

これは②の3つの要因を改善させればいいのです。
★ 第一要因:座る時間が長くなっていること。
→長時間座るときは、1時間に一回は立って身体を動かす。

★ 第二要因:パソコン・スマホ等の使用による前傾姿勢が多くなっていること。
→パソコンの位置や椅子と机の関係など、パソコン環境を改善させる。
 重要なのは作業時に、できるだけ前傾にならない事と顔が前に出ないようにすることです。スマホの持ち方も見直す。

★第三要因:姿勢の悪化や筋バランスの悪化、身体の使い方
→最低1日30分はパワーハウスウォーキングを行う。(パワーハウスウォーキングについての以前のブログ)

但し、すでに症状がある方は、カイロプラクターに相談してみることをおすすめします。

*パソコン姿勢やスマホも持ち方などは「パソコン・スマホで筋肉が癒着する!(木津直昭著 グリーンプレス社)に詳細がありますので、ご興味ある方はご覧ください。(http://www.kizuchiro.com/media.html

次回ブログでは、ストレートネック予防に適したエクササイズ特集を企画しています。

木津直昭

変形性膝関節炎へのカイロプラクティックアプローチ

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以前、KIZUカイロメールマガジン「心に残る患者さん」でも取り上げた「変形性膝関節炎の患者さんの治療」その後についてご報告いたします。
 現在では、2週間に一度、厚生年金病院リウマチ科において、定期検査ともに抗リウマチ薬(ヒュミラ)の皮下注射、抗炎症薬を処方してもらっています。また、週に一回行っていたカイロの治療は、現在は月に1回程度です。
 施術では、1年前から主に膝関節腔を広げながら内転筋群の筋・筋膜リリースとともに内側広筋斜頭のトレーニングを行い、また腰椎・骨盤の可動性もつけるようにしてきました。また、自宅でのセルフケアもカレンダーに毎日チェックしてもらうように指導してきました。経過は順調で、リウマチ科担当の医師も「今の状態なら手術はしないで大丈夫」と言ってくれるまで回復したのです。
あとは、レントゲン写真でも改善が確認できればと・・・。

 自分自身、施術しながら膝関節の可動域が改善している事と歩行姿勢を観察してきたので、少しはレントゲン写真での良くなっているかもしれないと、内心は期待したものの、発症してから20年の間に「くも膜下出血」で2回倒れていること。80歳を超える高齢者であること。また画像を見れば、明らかに関節がぶつかっていること。以上のことからもレントゲン写真での改善は難しいと思っていました。
上段写真左側2011年11月に撮ったレントゲン写真(立位体重負荷位)と右側2013年1月に撮ったレントゲン写真(立位体重負荷位)の比較です。
左右の画像を拡大して比較して頂くとわかると思うのですが、なんと確かに改善がみられたのです。明らかに関節腔に広がりがみられるのです。
実はこの患者は、母親です。2011年11月、母親は歩行困難に陥り、2週間後には手術を決定していたさなか「3ヶ月間待ってほしい、集中的にカイロプラクティックの施術をしてみたいので」という僕は身勝手なお願いをリウマチ科の担当医師、矢部先生にお願いしたのです。
矢部先生は、僕から母親に伝えたそのお願いを快諾してくれた医師なのです。高齢者の外科的手術、それも人工関節手術ですから準備も大変です。手術に耐える内蔵器官であるか検査したり、輸血の為の自己血採取等、他にもたくさんの手配・準備があったと思われます。2週間前という直前に、それを一つ返事でOKしてくれたのです。
 先日、担当の矢部医師にご挨拶をしてきました。以前から、直接お礼を言いたかったのです。矢部医師は、処方箋や手術について、また画像の変化や経過についても詳しく説明してくれました。そして「こちらこそありがとうございました。」と言って頂きました。なんとすばらしい医師なのでしょうか。

 今回のレントゲン上でも改善するようになった理由には、3つあると考えています。適切な処方箋による炎症反応が出ない状態で、施術ができたこと。矢部先生の心温まる励ましの言葉。そして、その言葉に答えようと、自宅でのセルフケアを毎日行う事ができた本人の精神力。
 以上が母親の治癒力を最大限に発揮させたのだと思っています。
今回の症例から「変形性膝関節炎」の施術に関して、自信が沸くとともに、整形外科医との連携の必要性を強く感じました。そして自然治癒力の可能性について再認識させられました。
 末筆になりますが、矢部先生はじめ厚生年金病院整形外科スタッフの皆様に心より感謝いたします。