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変形性膝関節炎へのカイロプラクティックアプローチ

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以前、KIZUカイロメールマガジン「心に残る患者さん」でも取り上げた「変形性膝関節炎の患者さんの治療」その後についてご報告いたします。
 現在では、2週間に一度、厚生年金病院リウマチ科において、定期検査ともに抗リウマチ薬(ヒュミラ)の皮下注射、抗炎症薬を処方してもらっています。また、週に一回行っていたカイロの治療は、現在は月に1回程度です。
 施術では、1年前から主に膝関節腔を広げながら内転筋群の筋・筋膜リリースとともに内側広筋斜頭のトレーニングを行い、また腰椎・骨盤の可動性もつけるようにしてきました。また、自宅でのセルフケアもカレンダーに毎日チェックしてもらうように指導してきました。経過は順調で、リウマチ科担当の医師も「今の状態なら手術はしないで大丈夫」と言ってくれるまで回復したのです。
あとは、レントゲン写真でも改善が確認できればと・・・。

 自分自身、施術しながら膝関節の可動域が改善している事と歩行姿勢を観察してきたので、少しはレントゲン写真での良くなっているかもしれないと、内心は期待したものの、発症してから20年の間に「くも膜下出血」で2回倒れていること。80歳を超える高齢者であること。また画像を見れば、明らかに関節がぶつかっていること。以上のことからもレントゲン写真での改善は難しいと思っていました。
上段写真左側2011年11月に撮ったレントゲン写真(立位体重負荷位)と右側2013年1月に撮ったレントゲン写真(立位体重負荷位)の比較です。
左右の画像を拡大して比較して頂くとわかると思うのですが、なんと確かに改善がみられたのです。明らかに関節腔に広がりがみられるのです。
実はこの患者は、母親です。2011年11月、母親は歩行困難に陥り、2週間後には手術を決定していたさなか「3ヶ月間待ってほしい、集中的にカイロプラクティックの施術をしてみたいので」という僕は身勝手なお願いをリウマチ科の担当医師、矢部先生にお願いしたのです。
矢部先生は、僕から母親に伝えたそのお願いを快諾してくれた医師なのです。高齢者の外科的手術、それも人工関節手術ですから準備も大変です。手術に耐える内蔵器官であるか検査したり、輸血の為の自己血採取等、他にもたくさんの手配・準備があったと思われます。2週間前という直前に、それを一つ返事でOKしてくれたのです。
 先日、担当の矢部医師にご挨拶をしてきました。以前から、直接お礼を言いたかったのです。矢部医師は、処方箋や手術について、また画像の変化や経過についても詳しく説明してくれました。そして「こちらこそありがとうございました。」と言って頂きました。なんとすばらしい医師なのでしょうか。

 今回のレントゲン上でも改善するようになった理由には、3つあると考えています。適切な処方箋による炎症反応が出ない状態で、施術ができたこと。矢部先生の心温まる励ましの言葉。そして、その言葉に答えようと、自宅でのセルフケアを毎日行う事ができた本人の精神力。
 以上が母親の治癒力を最大限に発揮させたのだと思っています。
今回の症例から「変形性膝関節炎」の施術に関して、自信が沸くとともに、整形外科医との連携の必要性を強く感じました。そして自然治癒力の可能性について再認識させられました。
 末筆になりますが、矢部先生はじめ厚生年金病院整形外科スタッフの皆様に心より感謝いたします。