No.205 右脇、右背筋(肩甲骨内側)の痛み(スイング改造による障害) 48歳 男性

症状

右脇と右背筋の痛みを訴えて来院。1ヵ月前から症状が出始めた。初めは筋肉痛から始まり、そのうち治まると思ったが痛みが強くなってきた。週に1度はゴルフの練習に行く。(毎回100球程度)練習後は特に痛くなり、湿布を張っているが効果はない。最近では静止時でも痛みを感じ、動かすとより強い痛みを感じる。手にしびれの症状は出ていない。

分析

初診時に器質的(炎症反応)な問題はみられなかった。神経学検査、整形学検査から、頚椎での神経圧迫(ヘルニアなど)の可能性も低いと判断。姿勢をチェック。猫背、右肩下がり、右骨盤上がり、状態が右後方に回転、相対的に首は左に回旋していた。 触診では、右頚部筋、右菱形筋、右大円筋、右小円筋が特に過緊張を起こし、圧痛も確認できた。また、右腸腰筋、右内転筋、右中臀筋、右大腿筋膜張筋の過緊張もみられた。それぞれの筋肉で筋力は低下し、うまく力を入れることができなかった。(下肢では特に外側の筋) 関節の可動域検査では、股関節全可動域、胸椎伸展、頚椎右回旋に制限がみられた。 また、猫背が強いので腕の挙上や首の伸展なども制限されていた。
スイングをチェック。最近、ご自身で気をつけていることは、初めから右足に体重をのせ、そのままテイクバックで右脇をしぼりながら身体を回転させるようにしているとのこと。過緊張の筋肉は、あきらかにスイングに関わる筋肉であった。また、猫背、股関節の可動制限などにより、身体の回転の可動域がかなり制限されていたので、右足は踏ん張り、腕は無理に右に引きつけてテイクバックを行っていた。それにより、筋肉の疲労が蓄積され筋肉への血流減少、過緊張による交感神経の興奮、痛みの出現というように症状が出たようである。

施術

治療は筋疲労を取ることが先決なので、筋肉を正常な状態に戻すことに重点を置いて行った。グラストン治療で異常反応を起こしている筋肉にアプローチ。これにより癒着を起こした組織を剥がし、再生する準備を整える。初めは筋に対してこれのみで行った。筋を休めるためには、関節のより良いポジションとより良い可動域が必要である。よって、肩関節、胸椎(猫背)、頚椎、股関節に対してマニピュレーションを行った。今回の痛みの引き金は、スイング改造であったので、再度スイングを見直してもらうようアドバイス。
2回の治療で静止時の痛みは消失。6回の治療で動きでの痛み消失。11回の治療で練習後の痛み、違和感が消失。身体の可動域、姿勢をチェックするため継続治療中。