No.200 頚部神経根圧迫症状へのグラストン治療 52歳 男性

症状

1年前よりアマチュアレスリングをしている。3ヶ月前から筋トレ後に右腕に力が入らなくなる。先週、整形外科の診察を受け、レントゲン検査結果から 頚椎4-5間、5-6間が狭くなり神経圧迫していると診断され ステロイド系抗炎症薬処方される。また、整形外科では、首がストレートネックなので筋トレやレスリングなどの 負荷には、耐えられないだろうと言われる。もう一度レスリングができる身体になりたいと知人の紹介で来院する。

分析

初診時、全体の姿勢は、重心が後方にあり、頚椎から頭部にかけては前傾である。頚椎は、静的、動的にもストレートネックである。関節可動域テストでは、後屈で制限があり、右肩にだるい痛みが出現する。筋力テストでは、C5、C6領域の筋力が低下。特に棘上筋力低下は顕著である。またC5神経領域での知覚鈍麻も見られる。
大学で授業を受け持っており、授業中に黒板を使う時にも同じような 腕から肩にかけてだるい痛みがあり、夜には患部がうずく事もある。肩関節の可能域を調べると、屈曲、伸展、外転、内転、内旋すべての動きで制限があった。詳しく聞いてみると10年以上前に転倒してGH関節(肩関節)を痛めて以来動きが悪いとの事。
考えられる原因としてGH関節が癒着していた為、腕を挙上すると上部僧帽筋や頚部筋群を過剰に緊張させてしまい、結果頚椎椎間への負荷が増大した、また胸椎の動きない為に下部頚椎への負担が増した。その運動連鎖のままレスリングをしていたので神経圧迫症状まで悪化したと思われる。

施術

治療方針として、癒着した上部僧帽筋・肩甲挙筋・頚部筋群に対してのグラストン治療、GH関節での棘上筋・棘下筋の癒着も取り除く。ストレートネックと胸椎後彎へのアプローチを行い 頚椎と胸椎の後屈時運動連鎖を整える治療行う。7回の治療で、日常の痛みはなくなる。12回目の治療後にはほとんどの痛みが消失した。その後、徐々に筋肉トレーニングと仮想レスリングの頚部強化トレーニングをすることにより治療開始後2ヶ月半でレスリング復帰することができた。現在経過観察中。 今回のケースは、GH関節を痛めた後に放置したために癒着が進行したものと考えられる。このような癒着には、グラストン治療は非常に効果的である。全身のウォーミングアップ→グラストン→矯正の順に治療プログラムを組むことが大切です。