No.183 ランニング中のバランスの違和感と不自然さ 28歳 女性 中央区在住

症状

最近ランニングを始めたがいつも特定の場所が筋肉痛や痛みが出たりと体のバランスの違和感・不自然さを訴え来院。毎日5~10kmのランニングを行っており、たまに左膝が痛くなるが翌日には治っている。また、いつも右足が先に疲れて筋肉痛になる。本人の主観では日常、椅子に座っている時や立っている時、重心が右にあるような気がするとの事。

分析

立位でみても右に体が流れているように見える。顕著に見られるのが、右足で片足立ちをすると左に比べ中央から大きく外側に流れるのがわかる。左の腸腰筋、殿筋群、四頭筋の右のハムストリングの緊張が強い。また、左の股関節の可動域が低下していた。 歩行分析では左足を軸にコンパスの動きのように歩いている。ランニングは歩行の延長ですので普段の走り方も同様と推測される。

施術

この方は左の四頭筋と右のハムストリングを主導筋として使って走っています。前に進むうえで四頭筋はブレーキ、ハムストリングは推進力を生む 筋肉として働きます。つまりこの方は走る一連の動作の中で左足を軸として主に右足だけで推進力を生み出し、左足でブレーキをかけている状態でランニングしているのです。 これではブレーキ時の衝撃を受ける左膝・股関節、またそれに付随する筋肉に負担がかかります。おそらくこれが左膝の痛みの原因と考えられます。 また、主に右足だけで推進力を作っているので先に右足が疲れてくるのは当然です。左右で負担が違うためもちろん身体も歪んできます。
治療は左に崩れてしまった身体の軸を中心にするようアプローチ。 まず左側に引っ張っている筋群の緊張を緩め、股関節の可動域を調整。また付随する骨盤・腰椎の歪みを取り除いた。また歪みにより使えていなかった筋群に対してエクササイズを行った。2回の治療で普段感じていた右重心が中心に感じられるようになったため、徐々に治療の間隔をあけながらランニング中でも軸がぶれないように体幹を強化し 走り方もアドバイスをした。現在はパフォーマンスの向上とメンテナンスを兼ねて治療中。
悪いフォームは身体を歪ませ、また身体が歪むと悪いフォームでしか走れない状態になってしまいます。これが痛みや怪我の再発と繋がります。「違和感」や「不自然」は身体からのサインです。痛みがでる前に客観的に自分の身体を見つめ直しましょう。