No.179 ゴルフプレー中に徐々に悪化する腰痛 66才 男性

症状

腰部の痛みを訴えて来院。 2日前にゴルフに行った。ハーフを回ったころから、だんだんと腰に痛みを感じ始めた。初めは軽い痛みだったが、徐々にかがむ事が困難になり、ボールをセットしたり、下から拾う事が出来なくなった。いい姿勢を保つのが辛く、少し上体を屈めているのが楽になってきた。なんとかラウンドは終了したが、帰りの車の乗り降りが痛みで辛かった。翌朝は起きるのもつらく、同じ姿勢をしていた状態から動き出す時が一番痛い事が分かった。ここまで痛いのは初めてで、軽い腰痛の時は近所の整体で施術をしてもらっているが、かなり痛いので友人に紹介してもらい来院。今週末はどうしても断れないラウンドがあるので、なんとかしてほしいとのこと。

分析

初回検査時、姿勢検査で状態が前屈みになり、お尻が引けている状態であった。左右への変位は顕著にはなかった。可動域では前屈と伸展は痛みの為に出来なかった。側屈、回旋は腰部に強い張りを感じた。整形学検査では動きがかなり制限されていたので、信頼できる検査ができなかった。神経学的には問題はなかった。 触診では両脊柱起立筋の過緊張と両腸腰筋の過緊張(特に右側)が強くみられた。殿部や四頭筋、下腿の筋緊張もみられた。

施術

器質的な問題(炎症反応)はなかったので、特に起立筋と腸腰筋の過緊張から起こる、腰椎への圧迫を取り除くことを目的とした。 身体が伸びる(良い姿勢を維持できる)ことが第一段階なので、前後のバランスをみながら、特に腸腰筋の過緊張を丁寧に取り除き、腰椎へのアプローチも行った。四頭筋、下腿三頭筋、腰部起立筋の緊張は2次的に起きたものなので、腸腰筋の過緊張をしっかり取り除く事である程度は楽になる。腸腰筋への負担をかけていたのが、背中の後弯と筋緊張(猫背)なので、最後に胸椎から頚椎にかけてアプローチ。痛みは3割ほど残るが、身体も伸びるようになった。その後2日施術を行い、痛みはほぼ消失。ラウンド前と後に行うエクササイズを指導。週末のラウンドをまわる事ができた。腰以外に左肩の痛みも2か月前からあり、治療を希望されたので、腰の再発予防も含め継続治療中。
今回の痛みは、やはりプレー前から猫背が強く、身体の軸がぶれる状態が出来上がっていたのが原因です。その日はとても寒く、筋肉が硬直しやすかったのも、誘発要因にはなっていると思われます。猫背になる股関節~背骨の回転可動域は減少します。その際に、いつもと同じようなイメージで身体を回すと、背骨が回らないので、力を入れて、肩甲骨を中心とした腕と下半身の回転で重要な股関節を無理に回す事になります。この時には力がうまく抜けず、力んだ状態になります。何かいつもと違う、なぜか力が抜けないと感じる人ような方は、身体の使い方がイメージと合わない場合が多いのです。この時は形にとらわれず、自分が動ける可動域でスイングをするべきです。または、リセットする体操やストレッチをしてから、普段と同じイメージでスイングをするようにしてください。これを意識するだけでも、腰痛の予防になります。