No.154 ゴルフ後の右足の痛み 42才 男性 営業職 日本橋勤務

症状

右足甲の痛みを訴えて来院。今朝から右足の母趾(親指)付近の甲側が痛い。安静時でも痛みがあり、特に歩行時、母趾に体重をのせた時と地面から足が離れる際の地面を蹴る時に痛む。外側に体重をのせるように歩くと痛みはない。思い当たる原因としては、昨日久しぶりにゴルフの練習(打ちっぱなし)に行き、200球くらい打った。しかし、練習中やその後も痛みはなかった。

分析

初回検査時、触診では右足は外反母趾のようになって横アーチが崩れている状態であり、右足甲側の第1中足骨と第2中足骨の間に圧痛がみられた。腫れ熱感などの顕著な炎症反応はみられない。動きは、右足第1中足骨を外旋、外転、下方への動きで痛みが再現された。下腿の筋力検査は正常、母趾に関する筋力検査は痛みを伴っていたため行わなかった。その他では、腰椎から骨盤、股関節にかけて右への動揺性が強くみられ、右の殿部や大腿外側の筋肉は強く緊張していた。本人としては腰の痛みなど自覚症状はない。

施術

治療は、最初に患部の治療から行った。外反母趾のようになって横アーチが崩れていること、圧痛と動かした時の痛みの再現、炎症反応がないことから、足の機能的障害がメインで痛みを起こしていると判断し、第1中足骨を内旋、内転、上方(横アーチを整えるように)へ動きをつけるようにアプローチした。また、腰椎から骨盤、股関節にかけての右への動揺性を、右足がカバーしていて過度な負担がかかっていたので、その動揺性を整えるようにアプローチした。
初回で痛みは軽減し、歩くことに支障はなくなったが、ジャンプをすると少し痛みはある。 アーチを保つために、足底の筋のエクササイズを指導した。 痛みの消失と動揺性安定のため、継続治療中。
この症状は、スイング時に右スウェイ(右に流れる)しないように、右足を踏ん張ることに意識をしすぎることが原因で起こります。 通常、足を踏ん張る時、母趾に力が入り、足底のアーチを保ちながら踏ん張ります。しかし、外反母趾や他の原因で足底アーチが崩れていたり、踏ん張った時、靴の中で足がズレてしまいうまく踏ん張れないような状態で行うと、足根骨(足を構成する骨群)で構成する足関節、それを支える筋肉に過度な負担がかかり、痛みの原因となる機能的な障害を起こします。 また、左右の腰椎、骨盤、股関節に関する筋肉(大腰筋、大殿筋、中殿筋、大腿筋膜張筋など)のバランスが悪いと、左右にスウェイしやすくなります。それらが原因で、余計に足を踏ん張ることで、結果的に過負荷が起こり痛みを起こしてしまうこともあります。
体のねじりや体重移動も大切ですが、それを意識しすぎて怪我をしてはどうしようもありません。やはり、ぶれない正しいスイング(技術)と、ぶれにくい筋バランス(身体)を作ることが重要です。