No.121 親指反り返り症候群(MP関節障害) 39才 女性

症状

両手親指の痛みと変形を訴え来院。
昨年9月より右手親指に痛みを感じ徐々にその痛みは親指から腕へと広がる。また、右手をかばうせいか左手親指にも痛みが出現する。痛みが徐々に強くなり日常生活に支障が出てきて、外科を受診する。「腱鞘炎」との診断で、患部に痛み止めを打ってもらうが改善せず。 その後整形外科にも受診するが同様の診断で湿布と患部固定するが症状は悪化傾向にある。発症より半年経過し不安になり来院。

分析

初回検査時、支配領域の知覚神経・筋力ともに正常である。親指の変形が強く、親指が広がらなくなり(写真参照)薄いものを持つ、親指を広げる、親指と人差し指で丸を作る等の動作が出来ず痛みを伴う。

施術

治療は、親指MP関節における不整列を矯正し、それに伴う連動する手関節(手根骨・橈骨・尺骨)のバランスを取り除く。またサポートの為にテーピングをし親指MP関節の負担を軽減。 3回の治療で親指の機能は回復し痛みなく動作できるようになる。現在経過観察中。

「親指反り返り症候群」(MP関節障害)で見られる症状

(1)親指が広がらず、パーができない。(左右の手を広げて比べる)
(2)親指と人差し指で丸を作れない。(親指と人差し指の指先をつける)
(3)薄いものや小さなものが持ちにくい。
(4)手が広がらないので太いファイルや辞書などが持てない。
(5)上記動作で親指や手首に痛みが生じる。

今回のケースは、マウス症候群でも見られる症状ですが、ゴルフでのグリップ時の右手親指の使い方や弦楽器を使う方、また育児中のお母さん(ドケルバン病とは区別します)等にも発症します。 すべて屈筋群と伸筋群の拮抗する筋バランスの崩れによる親指の関節から手関節にかけての不整列の進行による発症です。筋力が弱い女性に発症するケースが増えてきています(男女比は8対2で圧倒的に女性に多い)。

*ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)とは、親指を伸ばす腱の腱鞘炎のことです。手首の親指側にある長母指外転筋と短母指伸筋の腱鞘に炎症が起き、癒着または炎症を起こす疾患です。