「MRIで椎間板が潰れている」と言われた方へ。画像に変性があることと、それが今の痛みの原因であることは、別の話です。研究が示していることを、順にご説明します。
腰痛のない人にも、同じくらい変性があります

椎間板は背骨と背骨のあいだのクッション。加齢とともに水分が減り、薄くなったり後方へ出っぱったりします
MRIで「椎間板が潰れています」「変性しています」「ヘルニアがあります」と言われると、多くの方が「背骨が壊れた」「もう治らない」と感じてしまいます。
ドイツで一般住民3,369人に腰椎MRIを行った研究があります。「過去3か月に背中の痛みがなかった」と答えた1,366人と、痛みのある方を比べたものです。
結果、腰痛がまったくない方でも、全年齢で53.7%に進んだ変性がありました。60歳を超えると、腰痛がなくても8割以上です。
ご覧のとおり、青とオレンジの棒はほとんど同じ長さです。しかも60〜68歳では、腰痛のない方のほうが割合が高いという結果でした。
さらにこの研究は6年後まで追跡していますが、MRIの所見から将来の腰痛の強さは予測できなかったと結論しています。
⚠ 次の症状がある方は、すぐに医療機関を受診してください
- おしっこが出ない・漏れる・尿意がわからない/便が漏れる
- 足に力が入らない、動かない、つま先が上がらずスリッパが脱げる
- お尻・股のあいだ・内もものしびれ
- 両脚のしびれ・脱力/症状が広がってきている/発熱を伴う腰痛
- がんの治療歴がある方の新しい腰痛/安静時や夜間の痛み/体重減少
これらは緊急性の高い状態のサインである可能性があります。施術より先に、ただちに医療機関(救急外来を含む)を受診なさってください。対応が遅れると回復が難しくなることがあります。
年齢とともに増える、ごく自然な変化です
症状のない方だけを集めた33研究・計3,110人をまとめた研究です。
椎間板の変性は20歳代ですでに37%、80歳代では96%——ほぼ全員に見つかります。研究の結論は「これらの多くは正常な加齢の一部であり、痛みとは関連しない可能性が高い」というものでした。
白髪やしわと同じように、生きてきた年数の反映と考えるほうが、実態に近いのです。
WHOが示す、慢性腰痛への向き合い方
世界保健機関(WHO)は2023年12月、慢性腰痛のガイドラインを公表しました。
推奨されているもの
- 患者教育・自己管理の支援
- 運動療法
- 認知行動療法
- 一部の徒手療法
- 必要に応じた消炎鎮痛薬
日常的には勧められていないもの
- コルセット・腰椎ベルトの常用
- 牽引
- オピオイド(強い鎮痛薬)
- 痛みを許容できる範囲にする
- 身体を動かせるようにする
- 仕事・家事・スポーツに戻る
- 再発したときに自分で対処できるようにする
当院が見ているもの
私たちは、画像に写る形(結果)ではなく、その椎間板に負担をかけた原因に着目しています。その腰が日常の中でどう使われているか、立ち方・座り方・かがみ方でどこに負担が集まっているか、股関節と背中が動いているか(腰だけで代償していないか)、疲れたときに姿勢が崩れないか——。
同じ所見でも、その症状の原因にアプローチし、身体の使い方が変われば、負担のかかり方が変わります。
大切なお願い
この記事は、医師の診断や治療方針を否定するものではありません。ここでご紹介したのは「画像の所見と症状は必ずしも一致しない」という研究上の傾向であり、あなたご自身の所見が症状と無関係だと申し上げているのではありません。実際に治療が必要な病態もあります。診断や治療方針の判断は主治医の先生の領域です。不安な点や迷いがある場合は、必ず主治医の先生にご相談ください。当院は、身体の使い方を整えることでできることをお手伝いします。
平日 10:00〜20:00 / 土曜 9:00〜16:00 JR東京駅 八重洲北口 徒歩5分・東京メトロ日本橋駅 B1出口 徒歩1分
