【改善事例】13歳男の子の夜尿症が劇変。原始反射と「心のスイッチ」

【改善事例】13歳男の子の夜尿症が劇変。原始反射と「心のスイッチ」

なかなか人には相談しにくい悩みの一つに、「夜尿症(おねしょ)」があります。 中学生前後になっても症状が続くと、ご本人の自尊心にも影響するため、親御さんの心配も尽きないものです。先日、私の院に通う13歳の男の子(Rくん)に、とても嬉しい変化がありました。 数ヶ月間、一進一退の状況が続いていたのですが、「あること」をきっかけに、なんと5日間連続で夜尿がなくなったのです!

今回は、この事例を通して、夜尿症のメカニズムと根本解決へのアプローチについてお話しします。

1. なぜ夜尿症が治りにくいのか?(メカニズムの視点)

一般的には投薬やタイマー療法が行われますが、これらは対症療法に過ぎないことが少なくありません。私たちが注目しているのは、より根本的な「身体の土台」です。

▪️原始反射(ガラント反射)の残存: 背中に刺激が入ると腰が動く「ガラント反射」という原始反射があります。これが残存していると、睡眠中に寝具が背中に触れるだけで膀胱が刺激され、無意識に排尿を促してしまうことがあります。

▪️脳幹と自律神経のコントロール :排尿のコントロールは、脳の深い部分である「脳幹」や自律神経が司っています。原始反射が統合されていない状態は、脳幹がまだ「未成熟」なサインでもあります。

2. 「統合トレーニング」だけでは足りなかったもの

Rくんも数ヶ月間、ガラント反射の統合トレーニングを頑張ってきました。しかし、結果がなかなか安定しませんでした。 そこで先月、私はRくんと「目と目を合わせて」真剣に話し合いました。

「自分自身が変わろうと思わないと、身体は変わらないよ。そして、何より楽しんで取り組もう!」

この言葉が、彼の魂に火をつけたようです。 それまで「やらされていた」トレーニングが、彼自身の「意志」へと変わった瞬間でした。

3. 脳幹が育つということ

驚いたのは、夜尿が止まったことだけではありません。 Rくんは帰り際、お母さんの靴を靴箱から出してあげるなど、さりげない優しさを見せてくれるようになりました。

これは、真剣な対話を通じて彼自身の「脳幹」が刺激され、精神的な成長(自律、共感)が促された結果だと考えています。 子供と魂でぶつかっていくことが、結果として脳を育て、身体の機能を整えることにつながるのです。

4. 安心感が「自律神経のスイッチ」を切り替える

今回のRくんの変化を、最新の自律神経理論である「ポリヴェーガル理論」で読み解くと、非常に興味深いことがわかります。

夜尿症の状態は、自律神経が「休息と消化」を司るリラックスした状態(腹側迷走神経系)ではなく、無意識のうちに「凍りつき(不動化)」や「過覚醒」といったストレス状態に陥っていることが考えられます。

▪️「戦うか逃げるか」のスイッチが入っていると… :身体が常に緊張状態にあるため、深い睡眠と排尿コントロールのバランスが崩れやすくなります。

▪️「安心の回路」が開通した瞬間: 今回、私とRくんが目と目を合わせて本音で語り合ったことで、彼の脳は「ここは安全だ」「自分は受け入れられている」という強烈な安心感を感知しました。

この安心感こそが、未発達だった自律神経のスイッチを正しく切り替え、脳幹レベルでの排尿コントロールを助けたのだと考えられます。 「心」と「神経系」は密接につながっているのです。


考察

夜尿症は、単なる「癖」や「病気」ではなく、身体の成長段階におけるメッセージです。 原始反射の統合という「身体へのアプローチ」と、本人の意志を引き出す「心へのアプローチ」。この両輪が揃ったとき、子供たちは驚くほどの変化を見せてくれます。

今回のRくんの事例は、私たちに大切なことを教えてくれました。

夜尿症の改善には、以下の3つのステップが重要です。

▪️「身体の土台」を整える(ガラント反射の統合)

▪️「神経の安心」を届ける(ポリヴェーガル理論に基づく関わり)

▪️「本人の意志」に火を灯す(魂でぶつかる対話)

ただトレーニングをこなすだけではなく、子供の心が「自分も変わりたい!」「ここは安心できる場所だ」と感じたとき、脳幹は劇的な成長を遂げます。

夜尿症で悩むお子さまとご家族にとって、私たちの学校が「身体」と「心」の両面から支える場所でありたいと強く願っています。もし、なかなか改善しない夜尿症でお悩みでしたら、一人で抱え込まずにぜひ一度ご相談ください。

Rくん、その素敵な優しさを大切に、これからも一緒に歩んでいこうね!

子どもの歩き方と発育の学校 学長 木津直昭

*『子どもの歩き方と発育の学校』現在オンライン開校中(二期生5月スタート)