症例研究:ジストニア患者の改善

ジストニア患者症例報告

 今回のジストニアの患者さんは、五年前から始まった辛い『ジストニア症状』で苦しんでいました。

 施術は、頸椎2番の左側方からの矯正を行い、環軸関節の回旋軸を改善させました。また頸椎後弯に対して前弯方向に可動性をつけました。マッサージや筋膜リリースなどは一切行わず、関節を安定させ、筋肉組織の弛緩を可能にする機能神経アプローチが効果的だったと考えられます。

 1回目の施術で5年間左回旋出来なかった首が、左回旋できるようになりました。また、二回の施術で歩行相、全身の緊張が改善しました。今までは様々な医療機関でボトックス注射や筋肉を柔らかくする、またマッサージするなどの治療をしていたようでしたが効果はあまりなかったとの事でした。

 ジストニアは、脳の「大脳基底核」の機能異常により、運動のブレーキが効かなくなる(不必要な筋肉にまで命令が飛ぶ)状態と考えられています。頸椎、特に上部頸椎には、姿勢制御に深く関わる網様体(もうようたい)や前庭神経核といった脳幹の構造物への強力な入力があります。

以下は自分の推論:改善できたメカニズム

頸椎の歪みや固着を解除することで、脳幹への適切な固有感覚入力が復活した可能性がある。過剰に興奮していた運動神経系が沈静化し、大脳基底核の異常な出力(ジストニアパターン)を抑制する「ブレーキ機能」を助けたと考えられる。

環軸関節の歪みは、脳幹への持続的な「ノイズ(異常信号)」となります。ジストニアはこのノイズによって、脳が正しい運動命令を出せなくなっている状態です。頸椎C2を矯正したことで、このノイズが一気に消え、脳幹(特に網様体)の興奮が鎮まり、抑制系(ブレーキ)が正常に機能し始めたと考えられます。

 また右側の胸鎖乳突筋(SCM)や斜角筋のスパズム解除に着目した。首を左に回旋させる主動作筋は「右側の胸鎖乳突筋」ですから、左回旋が5年間できなかったということは、右のSCMが機能不全(過緊張、あるいは収縮不全)に陥り、常に右側に引っ張られるような力が働いていたはずです。左回旋ができるようになったことで、右側の胸鎖乳突筋や斜角筋の異常な短縮がリセットされ、それに連動していた腕の「巻き込み(屈曲パターン)」が解けたのではないでしょうか。

また、右側の胸鎖乳突筋や斜角筋の異常な短縮が解けたことで、以下のような「運動連鎖の正常化」が起きたと考えられます。

  1. 緊張性頸反射(TNR)の解除:右側の筋肉が異常に短縮していると、脳は常に「首が右に傾いている(あるいは回旋している)」という誤った信号を受け取ります。これが非対称性緊張性頸反射(ATNR)のようなパターンを誘発し、同側(右側)の腕の伸展や対側(左側)の屈曲(巻き込み)を強制していた可能性がある。
  2. 体幹の捻れと歩行相の変化」:頸椎1番(C1)と環軸関節は、全身の筋膜ネットワークにおける「ジャイロスコープ(姿勢制御装置)」の役割を果たしています。

矯正前: 右頸部の短縮により、右肩が上がり、体幹が左に回旋してバランスを取る代償動作が出ていたはずです。これでは骨盤の回旋がスムーズに行えず、歩幅が狭くなります。

 矯正後: 環軸関節と前弯が整い、右頸部のブレーキが外れたことで、肩甲帯の自由度が復活。腕が振れるようになり、その反作用で骨盤が正しく回旋し、自然と歩幅が広がる「歩行のバイオメカニクス」が再起動したと考えられます。

*ジストニアは、筋肉の収縮を引き起こす運動障害です。これにより、ねじり動作や、本人のコントロールが及ばない繰り返しの動作が生じることがあります。ジストニアが体の一部に現れる場合は局所性ジストニアと呼ばれます。体の2つ以上の隣接する部位に現れる場合は分節性ジストニアと呼ばれます。ジストニアが体全体に現れる場合は、全身性ジストニアと呼ばれます。筋肉のけいれんは軽度から重度まで様々です。痛みを伴う場合があり、日常の作業を遂行する能力に影響を与えることもあります。

 

インスタグラム:姿勢の匠

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KIZUカイロプラクティック 代表院長 木津直昭