No.198 両脚の痛みとしびれ(脊椎すべり症と筋筋膜性の痛み) 69歳 女性

症状

両下肢の痛みを訴えて来院。半年前に右足を捻挫し、痛みが消え始めたくらいから両下肢に痛みが出るようになった。整形外科に行きレントゲン撮影をし、変形性脊椎症、腰椎すべり症(腰椎4番)と診断を受ける。けん引と電気療法を受けたが、変化はなかった。その後、整骨院へ行き同様の治療を受けるが、変化はなかった。夜中に痛みで目が覚めることがあり、起床時も痛みで1~2時間はスムーズに動くことができない。上体を前に曲げると痛みが強くなり、反対に上体を反らすと足まで痛みが走る。また、痛みはその時によって変わり左・右、両側同時に出ることもある。また、不意な動きで痛むため、どの動きで痛みが出るのかが良く分からない。痛みは持続することもあり、暫くして消えることもある。

分析

姿勢はやや前かがみ、歩行では膝が若干曲がり、歩幅が狭くゆっくりと歩いていた。可動域検査で、この時は屈曲40度、伸展20度で下肢に痛みが再現された。 神経学的な異常は無かった。起立筋から殿部、ハムストリングス、腓腹筋、腹斜筋、大腿筋膜張筋、腓骨筋。腸腰筋、内転筋と下肢全体の筋肉に過剰な緊張が見られた。 また、変形性脊椎症の影響で下部腰椎の動きはかなり制限を受けている。

施術

治療初期では下部腰椎でのすべり症に起因する問題を取り除くため、過緊張を起こした筋肉の緩和と、腰椎5番上ですべっている4番の調整を行った。また、エクササイズとしてコアトレーニングを指導した。この時点で朝の痛みが減少と屈曲、伸展での可動域の改善が見られた。
次に、不意な動きでの痛みや、日によって不安定な状態を改善するため、残っている問題を再評価。慢性化した症状に起因する坐骨神経ラインでの筋・筋膜の拘縮、過緊張を取り除くようアプローチ。坐骨神経に沿って、関連する筋・筋膜をリリースした。治療後すぐに、より大きな可動域の改善と痛みの軽減がみられた。その後4回、筋膜のリリースを重点的に行ったところ、痛みはほぼ消失し、朝の痛みや不意な痛みが起きなくなった。メンテナンスのため、継続治療中。
この症状は、原因が複合した状態でした。すべり症と筋筋膜性の痛みが其々にあり、症状を複雑にさせていたと考えられます。症状をあらゆる角度から捉えることが重要だと言えます。