No.142 ゴルフ後の腰痛 (テイクバック時に回転軸がずれる) 42才 女性

症状

右腰の痛みと右殿部の痛みを訴えて来院。3週間前にゴルフの練習で300球近く打った。練習後半になり、右の股関節付近から殿部にかけての張り感が出てきたが、当日は何ともなかった。次の日からだんだんと痛みが感じられるようになった。歩行時には少し鋭い痛みを感じ、長時間同じ姿勢でいると、鈍く重だるい痛みが感じられた。3日前にも練習に行ったが、50球くらいで痛みが強くなり中止した。日に日に症状はひどくなっている感じがする。2ヶ月ほど前からスイング改造を目的に練習を行っている。

分析

初回検査時は姿勢で右腰をかばうためか、状態が若干左に傾いていた。歩行時には股関節が右外側に流れるような動きをしていた。胸椎の後弯が強く、反り腰にもなっている。左の腰筋、腸腰筋、殿筋群が過緊張を起こしていた。特に腸腰筋は緊張が強く、腰部の伸展を妨げるほどであった。神経学的な異常はみられなかった。

施術

施術は初めに、左右と前後の筋肉のバランスを整えることを行った。先に左の腸腰筋と腰部、殿筋群の緊張をとり、右の外側への動揺性が強くなった腰椎と股関節への調整を行った。それに伴い胸椎の後弯をへアプローチし前後のバランスを整えた。 5回の施術で痛みは消失した。動きの癖が強いので継続治療中。
今回のケースは、スイング改造に原因があると考えられます。コーチから特に注意を受けたのが、テイクバックでの上半身の回転を上手く使うことと、右から左への体重移動だそうです。 痛みと筋緊張、練習での動きから推測すると分かりやすいです。テイクバックで上体を回転させる際は、スウェーしないように、右股関節の後方やや外方へ力を移動します。(膝も一緒に流れてはいけない)それを意識しすぎたことと、若干上体の軸がぶれた状態で行っていたので、股関節付近の筋肉、腰部の筋肉に対しての負荷が過剰にかかっていたと考えられます。そして、左へ体重が移動する際に自然に移動するのではなく、移動させる意識が強いため左へ流れてしまっていたそうです。それを抑えようと、左の腸腰筋などが過緊張を起こしたのではないかと考えられます。理想に近づくために身体を無理に使っていた様です。スイングは身体の負荷も考え、見た目以上に、その人にあった無理のないスイングが理想だと思います。自分にあった無理のないスイングでゴルフを楽しんでください。
※「身体の軸」が崩れた状態でゴルフスイングを繰り返し行うことで起きるゴルフ障害の一例です。今回のケースは典型的なスイングショルダー(ゴルフ肩)ですが、特徴として、
・ゴルフのプレー後に肩甲骨の内側が痛む
・利き手と逆の肩が下がっている(右打ちなら左肩、左打ちなら右肩)
・肩から腕にかけての痛み、痺れがある
・ゴルフのプレー後に首に重さや痛みを感じる
などの特徴があれば要注意です。