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写真うつり

人間には身体と心、それに魂とでも言うようなものがある。ふつう写真は身体の部分、顔なんぞをあるがままに写し撮るものだろう。
ごく稀には、身体に加えて心と魂もまるごと作品に写してしまう名カメラマンもいるかもしれない。同郷の天才、土門拳さんのように。彼の撮った子供たちの写真を見ると、表情の中に魂が息づいている。
とすると、ふつう私たちがお目にかかる人物写真は、その人の顔は撮れていても、心と魂、つまりオーラのようなものは焼付けられていないことになる。日常、盛んにオーラを発して生活している人ほど写真と実際に会った感じがかけ離れていることになるはずだ。
写真うつりと言うのは現物との比較だから、良くないと思われる人ほど現実はオーラを盛んに出しているということなのだ。
(3月15日(水)日経新聞夕刊掲載 聖路加国際病院 細谷亮太先生記)

■土門 拳氏について

とても面白いコラムで、つい食い入るように読んでしまいました。
なぜかとういと、日々治療をしていて同じような事を考えていたからです。魂を考えず身体(機能的障害)を治療することは比較的短期間で習得できるが、人の身体はこの魂と心が絡んでくるので難しいのであるのと同時に大切であること、そしてそんな医療を目指すべきだと・・
そしてこの土門拳氏の写真を見て更に驚いてしまいました。普通の何気ない顔なのにその少年少女の顔には、魂が感じられました。