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仮眠の有効性について

ここ数ヶ月「仮眠」について、多くのメディア関係の方々より取材を受け、限られた時間の中、私なりに精一杯お答えさせて頂きましたが、テレビ等では番組の構成上なかなか真意が伝えることが難しく感じております。そこで今回、院長のコラムを通じ改めて私なりの「仮眠」について伝えたいことをまとめてみました。

1.睡眠サロン「NAPIA」を開いたきっかけは?
KIZUカイロに来院する患者さんのデータによると、ここ数年、多くの方の睡眠時間が短くなっているという結果が出ました。睡眠は、人間の自然治癒力を高める上で大きなファクターであるのは皆さんもご存知のことであるとは思いますが、その睡眠が不足することにより多くの不定愁訴を招かれることは、未だ認識が薄い方もいらっしゃることと思います。また、その睡眠不足により、大事故や仕事上のミスなどの原因にもつながっていることが、今のところ、目立ったニュースにはなっておりませんが、少しずつ社会問題になりつつあるのも事実です。
そこで私は、仮眠をとることにより、睡眠不足を少しでも補えるのではと考え、まず当院スタッフに短時間の仮眠を取らせることにより、その有効性と効果を検証しました。結果、実際にスタッフの身体疲労度合いと効率性、モチベーションの向上等に、今まで以上の大きな成果を得ることができましたので、今後、仮眠の有効性を広め、少しでも多くの方々に睡眠不足を解消して頂くべく「NAPIA」をオープンすることといたしました。

2.仮眠による有効性は?
~脳と身体への効果~
質のよい睡眠があってはじめて、脳は高次の情報処理能力を発揮できるのです。もし、癒される空間で20~30分の仮眠を取れれば、脳はストレスから解放され、同時に自律神経も調節されることにより元気を取り戻します。また睡眠不足は腰や首・肩など、身体の各部位に想像以上の負担をかけます。しかし、それは仮眠を取ることによって筋肉・関節・椎間板は元気になり、再び良い姿勢が取れるようになるのです。そうして良い姿勢が保てることにおり、その後の仕事の能率向上とともに、疲労蓄積の予防にもなります。

3.この先の展望は?
現代の社会において、まだまだ、昼寝や仮眠をとることは「怠けている」と捉えられがちですが、今後、社会全体の意識が変わり、人々が仮眠の有効性と必要性を知り、身体的疲労と産業効率の向上を目的に堂々と仮眠をする環境が整えば食事を取るのと同じくらいに「仮眠」が一般的に広がっていくと考えています。

つい先日も英国の「TIMES」社から「NAPIA」の取材を受け、他国においても徐々に仮眠が注目されつつあるのだと思った矢先に、先日(11月1日)ロイター通信より以下の報告がありました。

英国の企業管理職の4分の1が、寝不足のため職場で不機嫌になりがちであることが分かった。 1日発表された調査報告書によると、寝不足と答えた管理職の半数が、疲労から職場で怒鳴ったことがある、と答えた。このほか、ミスを犯しやすいと答えた回答者は、19%に上った。
「寝不足が原因の不機嫌でミスを犯しがちな管理職が、数百万人の英国労働者の監督責任を負っていることになり、経営上好ましいとはいえない」と指摘した。 報告書は解決策として、市街中心部に有料の簡易仮眠施設を設置することや、勤務中の仮眠、特に育児中の管理職に「補充日」を付与することなどを提案している。(英国の民間シンクタンク、デモスと家具小売大手イケアの合同調査より)

近い将来、日本でも昼寝をとる人=「怠者」から「賢者」に変わるかもしれません。但し、夜にとる「睡眠」を「昼寝」に置き換えるのでは根本的な問題の解決とはなっていません。
現代の社会は、テレビ・インターネット等により世界中が24時間繋がっており、その情報洪水の中で人々は生活を余儀なくされています。恐らくその24時間の中で上手に睡眠と昼寝をとっていくためには、どこかで「個人」レベルの歯止めをかける必要かと思います。