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腰椎牽引のメカニズムと効果②

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前回のブログの続きです。

脊柱狭窄症や椎間板ヘルニアが多発する部位は、主に腰椎の4番、5番(L4-L5間、L5-S1間)と言われています。この腰椎4,5番と骨盤とは腸腰靭帯と呼ばれる強い支持靭帯が上記のイラストのように存在します。この靭帯はかなり強固です。昔、解剖実習をした時にこの靭帯を確認しましたが、この腸腰靭帯は,テコでも動かないと言える程頑丈にできています。それだけ重力化の身体を支えなくてはならない、脊椎で一番負荷がかかると言っても過言ではない部位なのです。
そこで腰椎の牽引ですが、一般的な牽引ベッドは骨盤を引っ掛けて牽引します。骨盤を牽引すれば、おそらく4−5番にはあまり牽引力が伝わらないのでは?と私は考えています。骨盤を固定して牽引すると主に腰椎の3番(3-4間)又は、動きの良い関節(開きやすい)に牽引力はフォーカスされるのではないかと思われます。(解剖学的見地から見た推論です。)
そこでカイロプラクティックの牽引ですが、骨盤を固定するのではなく、動きが悪い関節を探してその部位を牽引できるのです。結果、腰椎の4−5番にもフォーカスして牽引することが可能なのです。ただ、牽引と聞くとその間を何センチも開くようなイメージがあると思いますが、先述したように強固な関節ですので、開くというより、その関節に動きが加わることが大事なのだと思います。言い方を変えれば動いていなかった関節に適切な刺激が加わることにより今まで働いていなかった神経系統が動き出すのだと思われます。

*上記イラストは、Atlas of Human Anatomy by Netterより抜粋