〜椎間板ヘルニア〜薬で痛み緩和・浸透〜
治療は消炎鎮痛剤等の薬物療法が基本。これに、神経を圧迫している部位に麻酔剤を注射する。「神経ブロック」や、腰を安定させるコルセット着用を組み合わせる事も多い。
しかし、痛みが激しく日常生活もままならないとき等は、手術で神経を圧迫する部位を取り除く。
ただ、手術をしても生涯にわたって万全というわけではない。再発率は約1割と言われ、同じ椎間板を痛めることもある。
記者は10年以上前に手術をしたが、このほどMRI検査で椎間板の状態の状態を調べると同じ場所を痛めていた。一度手術をすると癒着が起こり、神経と周りの組織を区別するのが難しくなる。手術の難しさは10倍以上になるという。
「昔に比べてヘルニアの手術件数は減っている」と指摘するのは大阪厚生年金病院脊椎外科の細野昇部長だ。
椎間板ヘルニアは何もしなくても1年経過すると7割の患者は回復する。飛び出したヘルニアを体内の貪食細胞と呼ばれる細胞が食べるからだ。「手術の有無に関わらずほとんど変わらない」(細野部長)
最近は、痛みを抑える薬も増えている。その一つが「プレガバリン(商品名リリカ)」もともとは帯状疱疹に伴う神経痛の薬だったが昨年10月に適応拡大された。
細野部長は「大幅な改善がみられる患者もいる。従来の治療の考え方を大きく変える可能性もある。」
「椎間板ヘルニアに限った予防法はない」と大阪労災病院の小田部長は話す。
対策は、一般的な腰痛予防と変わらない。基本は姿勢。背筋を伸ばしてあごを引き、肩の力を抜く。背骨を自然なS字カーブに維持した姿勢を保つ。腹筋の中でも特に重要なのが内蔵を支えている「腹横筋」。腰痛予防では腰ベルトを巻いて腹圧を高めて腰の負担を減らすが、腹横筋はこれと同じ役割を果たす。
股関節の柔軟性を高めることも大切だ。身体を回す動きをする際は腰椎は回旋方向にはほとんど動かず、股関節が対応することで補っている。ストレッチで股関節の柔軟性を高めると腰椎の負担を減らせるという。
腰痛予防の主な対策
・正しい姿勢
・朝の体操
・休息時の簡単な体操
・作業後のストレッチ
・簡単な筋トレの実施
・毎日のウォーキング
・腰ベルトの利用
・ゆっくりとした入浴
・十分な睡眠
・適量でバランスの良い食事
・ストレス解消
2011年11月25日(金)日本経済新聞夕刊掲載