初診時、姿勢分析・触診では猫背が強く、左の肩甲骨が右に比べて上がっており左肩に覆いかぶさるような変位をおこし、さらに腕が身体に巻き込むように前方へ変位をしていた。それに伴い左の上部僧帽筋や小胸筋など肩甲骨を上げる筋群が過緊張しており、逆に下げる筋群に筋力低下が見られた。また棘下筋や小円筋など腕を外旋(親指側に回旋させる動作)させる筋群にも過緊張が見られた。頚椎では正中からやや左へ重心移動が見られ、左側の起立筋や斜角筋の緊張が触診された。
神経学的検査では神経根性の障害は見られなかったが、整形学的検査では小胸筋や斜角筋などの過緊張による胸郭出口症候群のテストで陽性を確認。肩関節の可動域検査では左肩の外転(横から腕を上げる)時に、肩甲骨も同時に上がっていき肩甲上腕関節の可動性の低下が見られた。
治療では左肩甲帯の変位と可動性の異常を改善させるため、肩甲上腕関節の関節軸調整と過緊張を起こしている筋群へアプローチ。頚椎にも重心が正中になるように同じく関節軸調整及び、筋群へアプローチ。この治療に加え、経過を見ながら肩甲骨を下げる下部僧帽筋を使うエクササイズを行う。また、ヴァイオリン演奏時のフォームを改善してもらった。7回の治療でヴァイオリン演奏後のしびれや肩こりはほとんどど感じなくなっており、肩の可動範囲も80%程の回復が見られる。
今回のしびれの原因はヴァイオリンのフォームが起因だと考えられます。本来のヴァイオリンのフォームはでは左脇をしめて肘を内側へ位置させることが大事です。重要なことは下部僧帽筋を使うことです。この働きにより肩甲骨は下制し、肩全体に自然な外旋力が生まれ、体幹と連動した強い左上肢の支えを作ることができるのです。この方のように猫背が強く、肩甲骨が上がっている状態ですと下部僧帽筋を十分に使えないため体幹との連動がなく、肩周りの筋肉に大きな負担をかけてしまいます。本番が近いこともあり肩に力が入りすぎていたことも原因の一つだと思われますが、このフォームの乱れにより肩甲骨回りや胸部、頚部の筋群に過緊張を起こし、胸郭出口症候群と同様な症状を引き起こしていたようです。
また、この方は腕を上げた時の痛みも訴えていましたが、原因は同じです。猫背が強くなり肩甲骨の可動域が減少している状態でしたので、肩甲上腕リズムが崩れその結果痛みを出していたと考えられます。
何事にも基本のフォームや姿勢があります。これらは動作を行うにあたって一番効率の良いものであり、最も負担の少ないものです。これが崩れることにより結果さまざまな症状を引き起こします。また、この崩れは自分ではなかなか気づき難く、気づいたときはすでに症状がでていることが多いのです。現在何かの動作で症状が出る方は客観的に自分の姿勢、フォームを見直しカイロプラクターに相談されることをお勧めします。
(担当:MAIN 鷲見 光一)
演奏者に多い症例
・ピアノ演奏中の腰痛
・ギターの持ち運びによる腰痛
・コントラバス奏者の腰痛
・ヴァイオリン演奏と肩こり
・ピアノ教師の腕のしびれ〜頸椎ヘルニア
・ピアノ演奏後の手(親指)の痛み 腱鞘炎
・ピアノによる肩甲骨、背中の痛み
肩甲上腕リズムの症例
・四十肩〜肩甲上腕リズムの崩れ〜