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頭痛について② ーカイロプラクティック的アプローチ法ー

前回は頭痛の分類についてでしたが、今回は、頭痛に対するカイロプラクティックアプローチについてまとめてみます。

■頭痛へのカイロプラクティック的アプローチ
頭痛の治療においてカイロプラクターは頭痛原因を分析することに重きを置き以下のことを行います。

カイロプラクティック的検討対象となるプロトコル
1.病歴と検査結果に危険信号がないかチェックする。器質的頭痛を排除する。
2.頚椎を評価し、頭痛を起こす頚椎コンポーネントがあるか判定する。
3.側頭下顎関節(TMJ)を評価し、頭痛を起こす要因があるか判定する。
4.頭部外傷か血管原因の場合は排除する。
5.頭痛原因の可能性のある食生活要因を探す。
*適応症以外は、すみやかに専門医に紹介させて頂きます。

以上のプロトコルを通して原因を探し、頚椎のコンポーネント・側頭顎関節などの治療や 背骨・骨盤のアライメントや筋肉や関節などの問題を改善させて頭痛を軽減させる事が可能です。
カイロプラクティック治療は一次性頭痛に有効と言われています(特に緊張性頭痛や頚性頭痛)が、最近の臨床を通してわかってきたことは、原因が多岐にわたっている複合体が多いということです。
例えば、ストレートネックや上部交差症候群においても頭痛が発症する方が多いのですが、これはストレートネックや上部交差症候のような状態は、頚椎コンポーネント異常や筋緊張を作ってしまいます。またその筋緊張は、精神的なストレスから起きていることも考えられます。また、日常の習慣で作られた「その人独特の悪い姿勢と身体の使い方」も大きく影響する等、様々な要因が絡み合い、頭痛が起きるという機序になっているのです。
今や頭痛は真に隠れた流行病であることは明らかです。そして原因を特定することが難しい疾患の一つだと思います。どんな障害も同じなのですが、症状が憎悪する「何か」が存在します。
私の小学生のころの頭痛は、姿勢が原因で発症していました。
その「何をすると?」「どんな時」悪くなるのかを患者さん自身も理解しておく事が頭痛の根本的な解決に繋がるはずです。前回のコラムにあった「危険な頭痛の症状」も参考にして、専門医の検査を受ける事も必要だと思います。

頭痛日記を付けるのもいい考えだと思います。いつ痛みが出現したのか、薬や食事の時間などを記入しておくといいでしょう。

姿勢が気になる方は、以下にある簡単にできる姿勢調整法から始めてみましょう!

■簡単しせい調整法:
悪い姿勢で顎が上がった状態から自分の人差し指を下写真のように顎に当て、あごを引かせ、後頭部が天井に向かって少し上げるようにイメージします。連動する筋肉が自然に働くと上部交差症候群の姿勢を改善できます。パソコン使用中に時々(1時間に1回目安)この調整法を行うといいでしょう。


参考文献:
○日本頭痛学会(慢性頭痛診療ガイドライン):主任研究者 坂井文彦氏(http://www.jhsnet.org/) 
○頭痛大学サイト:(http://homepage2.nifty.com/uoh/
○Murdoch University Chiropractic and Sports Science (head/Cervical Spine Care) :Julian V.Vickers D.C.(SCUHS),Mark Hecimovich D.C.

「ストレートネックとは?」
「上部交差症候群」について
臨床ファイル:上部交差症候群による頭痛と肩こり

頭痛について① ー頭痛の分類ー

頭痛で思い出すのは、小学校の頃のことです。常習的に頭痛になり痛くなると、頭痛薬を飲むことを繰り返していました。その頭痛とは大学生迄付き合うことになりました。
ただ、薬を飲めば治るので真剣に病院に行くという発想はまったくなかったような気がします。その後カイロプラクティックを勉強するようになり、自分の姿勢の悪さに気づくようになったのです。
今まで、右下ばかりで寝ていたり、右足に体重かけて立っていたり(昔の立位の写真がほとんど右足に重心かけていたのです)と何とバランスが悪かったのだろうと思います。しかし、姿勢の問題が身体にどう影響するのかが徐々にわかりだし、姿勢を意識するようになるとそのような悪い姿勢をとらなくなっていました。すると何年かのうちにあの苦しい頭痛とはおさらばし、頭痛薬からも開放されていたのです。今になって思えば、あの頭痛は下記分類にある「頚性頭痛」だったと思われます。
 現在多くの患者さんと接し、頭痛で苦しむ方が多いこと、そして最近は、パソコンを使うことにより症状は年々悪化傾向にあると感じています。そんな中、今回は、この現代病の代表「頭痛」についてまとめてみようと思います。  日本全国調査では片頭痛の年間有病率は 8.4 %と報告されています。また、世界各国における有病率は様々で,米国 13.0 %やドイツ 27.5 %、本邦を含むアジアでは 5 ~ 10 %,欧米では 10 ~ 15 %と考えられている.これはいずれの数字を取ってもきわめて高い有病率である。
年代別片頭痛有病率をみると,若年~中年の女性に多く 30 才代, 40 才代女性の片頭痛の有病率は各々 17.6 %, 18.4 %も及んでいる。 日本の片頭痛患者は,頭痛のために日常生活に支障があるにもかかわらず,医療機関に受診するものが少ないことが示されている 。
また日本では緊張型頭痛の罹患率は,様々な調査で一般集団における生涯有病率は 30 ~ 78 %の範囲とされており,機能性頭痛のなかで最も多いと考えられている.頭痛は以下のように分類されています。

■頭痛の分類
1.一次性頭痛(=機能性頭痛)(基礎疾患のないもの)
o片頭痛、群発頭痛
o緊張型頭痛 、頚椎原生頭痛

2.二次性頭痛(=症候性頭痛)(原因疾患のあるもの)
o脳外科的適応のあるもの
  (例:くも膜下出血=炎症性頭痛、脳腫瘍=牽引性頭痛)
o内科的なもの
  (例:髄膜炎=炎症性頭痛、感冒=二次性血管性頭痛)
o耳鼻眼歯科疾患によるもの=関連性頭痛

出典:頭痛大学(http://homepage2.nifty.com/uoh/

■緊張性頭痛
頭痛のなかで緊張型頭痛の罹患率は、様々な調査で一般集団における生涯有病率は 30 ~ 78 %の範囲とされており、機能性頭痛のなかで最も多いと考えられている。
これはまたすべての疾患のなかで最も多いもののひとつである。症状は、軽度から中等度の、頭をベルトで締めつけられるような痛みが、頭全体に生じるか後頭部に感じることが多い。痛みは30分から7日間ほど続く。
運動、光、音によって悪化することはなく、吐き気や嘔吐も伴わない。肩や首を温めると緩和することが多い。

■片頭痛
日本全国調査では片頭痛の年間有病率は 8.4 %(前兆のある片頭痛 2.6% ,前兆のない片頭痛 5.8% )と報告されている。
世界各国における有病率は様々で、フランス 12.1 %,米国 13.0 %,ドイツ 27.5 %,タイ 29.1 %などの報告がある。
調査方法や診断精度、さらには生活様式や地域性による違いもあるものと考えられるが、本邦を含むアジアでは 5 ~ 10 %,欧米では 10 ~ 15 %と考えられている。これはいずれの数字を取ってもきわめて高い有病率であって、対策が必要な疾患であることを示しているといえる。年代別片頭痛有病率をみると、若年~中年の女性に多く 30 才代, 40 才代女性の片頭痛の有病率は各々 17.6 %, 18.4 %も及んでいる。本邦の片頭痛患者は、頭痛のために日常生活に支障があるにもかかわらず,医療機関に受診するものが少ないことが示されている。
中等度から重度のズキズキする痛みが、ほとんどの場合頭の片側だけに生じる。痛みは4時間から3日間ほど続き、運動、光、音、またはにおいによって悪化し、吐き気と嘔吐を伴う。
拍動性の痛みで入浴などで温めると悪化する。男性より女性に多く発生。片頭痛は遺伝性があるとの研究報告もある。

■頚椎原性頭痛(頚性頭痛)
他の頭痛のような有病率の調査結果はないが、片頭痛や緊張性頭痛等との関連性が重要視されている。痛みは首の後頭下部から前頭部、眼窩領域、こめかみ、頭頂部、耳にも広がる可能性あり。首の特定の動きや姿勢の固定で悪化する。
片頭痛に似て吐き気・嘔吐・クラクラ感や光や音に敏感になることもあります。レントゲン上では、頚椎カーブの減少(ストレートネック)が多く見られるという調査結果も出ています。

■群発頭痛
群発頭痛の有病率は 10 万人あたり 56-401 人程度と報告されており、 片頭痛に比べその患者数は少ないとされている。群発頭痛の発症年齢は通常 20-40 歳代である。男性における有病率は女性の 3-7 倍である。
突き刺すような重度の痛みが特に眼球の周囲に生じ、15分から3時間ほど持続する。群発頭痛が起きた人は、激痛のために横になることもできず、歩き回ったり、ときには自分の頭をたたいたりする。光、音によって悪化することはなく、吐き気や嘔吐も伴わない痛みがある側は、鼻水が出たり、涙が出たり、まぶたが垂れ下がったり、眼の下が腫れたりする。

■重篤な症状
脳腫瘍やくも膜下出血、血管腫等で頭痛はある。くも膜下出血では激しい頭痛に嘔吐・意識喪失・めまいも現れます。これらの症状が疑われる場合はすみやかに専門医に診てもらう必要があります。

■危険な頭痛の症状
○「これまでで最悪の頭痛か(最悪)」
○「増悪しているか(増悪)」
○「突然発症か(突発)」
→「一般外来での頭痛の鑑別には『増悪』が最も有用
→ 三つ質問にいずれも該当しない患者に危険な頭痛はまれ
→ すべてに該当していても、危険な頭痛が少ない
*出典:馬杉綾子氏(千葉大総合診療部)、第11回日本総合診療医学会の発表(Nikkei Medical 2003.4:39)


*次回は、続編「頭痛について②」-頭痛へのカイロプラクティックアプローチについて取り上げます。来週2月23日にはUPする予定です。

参考文献:
○日本頭痛学会(慢性頭痛診療ガイドライン):主任研究者 坂井文彦氏(http://www.jhsnet.org/) 
○頭痛大学サイト:(http://homepage2.nifty.com/uoh/
○Murdoch University Chiropractic and Sports Science (head/Cervical Spine Care) :Julian V.Vickers D.C.(SCUHS),Mark Hecimovich D.C.

「ストレートネックとは?」
マウス症候群
パソコンを使うと身体が不調になるのは何故か?(VDT症候群)
「上部交差症候群」について
頭痛について② ーカイロプラクティック的アプローチ法ー


臨床ファイル
・頭痛と吐き気を伴った肩こり(ストレートネック)
・首こり、肩こり、背中の痛みと頭痛
・筋緊張性頭痛(筋緊張型頭痛)~こめかみの痛み、目の奥の痛み、吐き気~
・マウス症候群~頭痛を伴う首から腕にかけての痛み
・マウス症候群 ~PC操作と筋緊張型頭痛
・VDT症候群~眼精疲労と頭痛
・上部交差症候群による頭痛と肩こり

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